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技術コラムColumn
2024/01/11
クランクシャフトは様々な理由から熱間鍛造で製造されています。このコラムではなぜ、クランクシャフトが熱間鍛造で製造されるのか、クランクシャフト製造のポイントやよくあるトラブルについて解説します。
自動車部品の一つで、エンジン内部にあります。エンジンのピストン運動を回転運動に変換するもので、エンジン部品の中では重要な部品となります。
クランクシャフトを熱間鍛造で製造する理由として、成形が容易にできること、強度が出せることの2点が挙げられます。
熱間鍛造そのものの特徴として、金属を熱してから鍛造を行うため複雑な形状であっても成形が容易に行えます。そのためクランクシャフトのような形状の部品でも問題なく鍛造することができます。
クランクシャフトはエンジン内でも基幹部品であり、耐熱性だけでなく、耐久性も求められます。そのため、鍛流線などの影響も受けることができる熱間鍛造で製造されることが多い部品となります。
熱間鍛造でクランクシャフトを製造する際のトラブルとして、以下が挙げられます。
クランクシャフト製造の際に発生する、軸曲がりが抑制できないことが発生します。精度については知識や経験などが影響する場合も多く、知見を持った技術者が対応すべき場合もあります。
カウンターウェイトなどの幅の狭いものなど、複雑な形状の成形ができない場合があります。金型設計の段階から、それらを見越して検討する必要があります。
当社では、長年の経験から複雑形状を含む以下のようなクランクシャフトの熱間鍛造を特徴としております。
自動車メーカーと当社との長い歴史の中で培われた経験を活かし、高精度な軸精度を実現。異形状製品であっても対応いたします。
カウンターウェイトの肉厚が薄いものから熱いものまで、対応いたします。複雑形状であっても金型を内製しているため、設計段階から最適な提案を行うことが可能となっております。
ここでは熱間鍛造で製造したクランクシャフトの事例をご紹介します。
こちらの製品は、2Rクランクシャフトです。左右のバランスは悪く、肉流れが悪い事が問題でした。このような製品はシミュレーションで金型やウェイトが大きく厚い部分に確認が必要です。
そのため、シミュレーション実施することから進める必要がある事を説明させて頂きました。シミュレーションを進め検討を重ねた結果、金型の改善が必要となる事がわかりましたので、当社にて改善提案を行い製作を進めさせて頂きました。
こちらの製品は、ウェイト間の幅に対して、ウエイトが深すぎるというバランスの悪い製品となります。そのため、鍛造時に肉が流れづらい点が問題ということで、ご相談をいただきました。
当社にてシミュレーションを行い、金型設計から改善が必要であることがわかりました。それに対して、金型設計の改善提案を行い、シミュレーションを行った結果、このような複雑形状に対しても問題なく生産ができることが確認できましたので、生産を行いました。
こちらのクランクシャフトは、重量が重く20kgある製品だったため、成形可能なメーカが見つからず、お客様が対応可能な会社を探していた中で当社にご相談いただきました。
一般的な国内の熱間鍛造メーカでは3000トン対応出来る設備は持っていますが、こちらの製品にはそれ以上の設備が必要となりました。
当社では5000トンプレスを保有しているため、材料切断~製品箱入れまで60分で完結する一貫生産ラインを提案致しました。
歩留まりをいかに改善できるか、という点においては当社の生産ラインが活躍した事例となります。
こちらの製品は、手前が太く、奥が細い形状のため、肉の配分バランスがいびつな形状でした。軸が太い方が欠肉してしまうことが多く、軸が細い方に肉が流れてしまうとバリが多く発生してしまい歩留まりが悪化してしまう問題がありました。
改善内容として、シミュレーション段階で中身を充満させるような流れを設計しました。また金型に工夫を凝らさなければいけないため、マシニングセンタで直接金型加工の実施もいたしました。
ジャーナル軸とピン軸の位相のズレを抑えることが重要な製品となります。しかし、形状が複雑になると位相のズレが発生しやすくなっており、問題となっていました。また、手前が太く、奥が細いため、肉の配分バランスが悪い状態でした。軸が太い方が欠肉してしまうことが多く、軸が細い方に肉が流れてしまうとバリが多く発生してしまい歩留まりが悪くなる事がわかりました。
こちらは、両短軸が段形状で細長い軸部分の成形が困難で欠肉しやすいため難しい製品です。 自動車は形状がシンプルな一方で、二輪車や船外機は異形が多いので欠肉しやすい部分に注意が必要です。
150馬力が必要な大型クランクシャフトを鍛造後に外注で熱処理工程しており、その際の曲がり不良が多かった点が問題点とわかりました。そこで、熱処理メーカとも協議を進め、曲がり抑制を実施しています。 ギヤ形状、真円度と同軸度が重要であることを認識し、改善を進めております。
こちらは、L軸(Left)の段形状で細長い軸部分の成形が困難で、軸曲がりが起こりやすく、問題となりやすい製品です。自動車向けは形状がシンプルな一方で、二輪車や船外機向けは異形が多いので軸曲がりが発生しやすい部分に注意が必要です。
150馬力が必要な大型クランクシャフトで鍛造後に外注で熱処理工程しており、その際の曲がり不良が多かった点が問題とわかりました。そこで、熱処理メーカーとも協力しながら曲がり抑制を実施しています。
こちらの製品は、従来ジャーナル軸に対してピン軸が120度の位相でツイスト工法での加工が一般的となります。ただし、ツイスト工法だと工程数が多くコストと工程短縮が課題となります。
そのため、平打ち成形での一発成形による工程短縮を提案しました。ただし、アンダー形状が発生するため駄肉をつける必要がありますので、金型設計に注意が必要です。
こちらの製品は、2Rクランクシャフトです。左右のバランスは悪く、肉流れが悪い点が問題点でした。 こういった製品は、シミュレーションや金型設計が重要になります。
そのため、シミュレーション実施することから進める必要がある事を説明させて頂き、お客様にもご納得いただきました。シミュレーションを進め検討を重ねた結果、適切な金型設計に改善が必要となる事がわかりました。当社にて改善提案を行い製作を進めさせて頂きました。
こちらは、90度位相の異形状製品であり、工法の改善についてお悩みとのことでご相談をいただきました。 90度位相の形状であるため、ツイスト工法で加工するか、平打ち成形で金型を段形状にして1発成形を行うかで比較・検討を行い、両方の工法にてお見積もりをいたしました。
製造の際には、アンダー形状が発生するため駄肉をつける必要がありました。左右のバランスは悪めで、肉流れが悪いため、事前のシミュレーションや金型設計が重要なものとなりました。結果として、1発成形であれば工程の短縮も可能なためこちらの工法を最適な工法としてご提案させていただきました。
バギー車用の長尺クランクシャフトでのご相談でした。製品の特長として、軸が両端に長いため、欠肉と曲がり対策が重要なものとなります。こちらの対策についてお悩みとのことで、当社にご連絡いただきました。
長尺品であり、欠肉や曲がりに対しての対策が必要なため、当社から金型設計の改善提案を行いました。当社でのシミュレーションも行うことで、お客様からもご納得いただきまして、金型の設計提案を行い、対応させていただくこととなりました。
歩留まりと表面粗さについて課題のあるお客様からのご相談でした。 こちらの製品については、歩留まりの向上と肌荒れ対策のために、材料の中央を太らせる潰し工程を設けました。
材料の中央を潰して太らせることで、大きなウェイト寸法への対応と酸化スケール(鉄が高温になった際に酸素に触れると表面が酸化する、そのまま成形してしまうと肌荒れにつながる)を抑制することができます。表面粗さに影響が出る場合に採用されることが多いため、ご提案をさせていただきました。
こちらの製品は、ウェイト幅が狭く、深いため、金型の耐久性も悪くなってしまい、改善をご検討中でした。特に、金型が倒れやすくなってしまうため、壁の強度対策向上、または肉の配分を変える(応力の分散)、肉流れを変えて応力が集中しないように金型設計をするなどの対応が必要となっていました。
そのため、金型設計から改善のご提案をさせていただきました。耐久性の向上や、応力の分散などについてシミュレーションも交えてご提案を行いました。
こちらの製品は、製作するには比較的容易な形状である一方で、ウェイトが厚く、上手く分散できないと径を太くしなければいけない形状でした。形状のバランスが悪く、鍛造時に多くのバリが出て歩留まりが悪いことも改善点として挙げられていました。
そのため、当社にてシミュレーションを行った結果、金型設計から見直す必要がありましたので、当社からお客様へ金型設計の改善提案をさせていただきました。当社からお客様へ歩留まりの提案により、結果としてお客様にもご納得いただけたため、制作をさせていただきました。
こちらは、両短軸が段形状で細長い軸部分の成形が困難で欠肉しやすいため難しい製品です。 自動車は形状がシンプルな一方で、二輪車や船外機は異形が多いので欠肉しやすい部分に注意が必要です。
150馬力が必要な大型クランクシャフトを鍛造後に外注で熱処理工程しており、その際の曲がり不良が多かった点が問題点とわかりました。そこで、熱処理メーカとも協議を進め、曲がり抑制を実施しています。 ギヤ形状、真円度と同軸度が重要であることを認識し、改善を進めております。
こちらは、左側のフランジ部分に肉が多く、欠肉しやすいため製作が難しい製品です。自動車向けは形状がシンプルな一方で、二輪車や船外機向けは異形が多く製作が難しくなります。150馬力が必要な大型クランクシャフトで鍛造後に外注で熱処理工程を実施していますが、その際の曲がり不良が多くありました。
不良改善するために、熱処理メーカーと協議した上で曲がり抑制する事で改善を進めていきました。その結果、不良が少なくなり改善する事が出来ました。
軸物・シャフト 熱間鍛造技術センター.comを運営するKAKUTAテックフォージングは、昭和20年の創業以来、機械器具部品や農機具、自動車・オートバイ部品の熱間鍛造プレス品を製作してまいりました。業界問わず、地域・環境特性に応じた熱間鍛造プレス技術によって、数多くのメーカーと直需対応を行っており、鍛造業界から注目を集め続けています。
当社では、クランクシャフトやレールなどの熱間鍛造に関して、製品図面をもとにした金型設計段階から一貫対応しております。熱間鍛造において技術力の差が生じるのが金型ですが、当社では自動車・二輪車メーカーの方々と共通言語で会話することができる技術ノウハウで、CADや各種シミュレーションツールを用いた熱間鍛造金型の設計を行います。また金型製作についても、全工程を社内で完結させているため、お客様の生産ラインを止めない金型製作体制を構築しております。
>>金型設計・鍛造シミュレーションによる精度・生産性へのこだわり
特に他社と差別化された要素として、当社では5000トンの大型熱間鍛造プレスを含む一貫自動生産ラインを保有しており、通常は6日かかる工程をおよそ60分で完成させる圧倒的な納期対応力で、多くのお客様に向けて熱間鍛造品の生産を行っています。特に量産が必要な熱間鍛造プレス品については、熱間鍛造プレスの設備力や技術力が結集した自慢の量産ラインで生産いたします。
詳細は下記動画をご覧ください!
そして当社では、自動車メーカーのパートナーとして選ばれる品質保証を維持し、向上し続けるため、最新の非接触三次元測定機も導入し、社内でも甘えを許さない世界トップレベルの厳しい品質保証体制を構築しています。さらに、ただ高品質な熱間鍛造品を製作するだけでなく、省エネによりエネルギーやCO2排出量の削減に取り組み、離型剤や廃液を再利用することで、環境に配慮して社会貢献するための取り組みも行っています。これからも当社は、地球に優しい熱間鍛造の技術開発や生産体制の構築を目指してまいります。
KAKUTAテックフォージングでは、熱間鍛造プレスによる複合部品の一体化や、ステンレスのような難加工材への熱間鍛造プレスなど、常に国内の熱間鍛造プレス技術をリードしてきました。この技術開発力こそが、当社の技術力の源泉であり、
国内大手メーカーの皆さまから選ばれ続けている理由の1つです。
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