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技術コラムColumn

2024/03/14

クランクシャフトの製造方法とは?

クランクシャフトはエンジンの構成部品として使用される部品です。強度や大型対応の観点から熱間鍛造にて広く製造されています。熱間鍛造での製造時は温度管理や荷重管理などが重要な要素となっています。

このコラムでは、熱間鍛造におけるクランクシャフトの製造方法や製造時のポイント、当社で実践するポイントを解説します。

 

クランクシャフトとは?

自動車や船舶エンジンなどに使われるクランクシャフトですが、エンジンの構成部品として重要な役割を持つものです。ピストン運動を回転運動に変換させるもので、強度が求められます。複雑形状品であり、高強度材料にて製造されるため、熱間鍛造での製造が一般的です。

>>クランクシャフトの軽量化によるデメリットとは?

>>クランクシャフトの鉛フリー化におけるポイントとは?

 

熱間鍛造にてクランクシャフト製造を行う理由

なぜ、熱間鍛造でクランクシャフト製造が行われるのでしょうか。理由としては熱間鍛造特有の金属材料が加熱されることにより、塑性が良くなり強度が増す点が挙げられます。クランクシャフトは複雑形状であるため成形自由度が求められますが、熱間鍛造であれば対応が可能です。また大型製品に対しても熱間鍛造なら問題なく製造できるため、クランクシャフト製造には熱間鍛造が用いられています。

1-2_ステンレス等の難加工材への熱間鍛造プレスの対応

 

熱間鍛造でのクランクシャフト製造のポイント

熱間鍛造でクランクシャフト製造を行う際は以下のポイントに注意する必要があります。

 

温度管理

熱間鍛造では鍛造前の加熱から鍛造後の冷却まで、温度管理が重要です。鍛造前の加熱温度が高すぎても低すぎても全体工程に影響が出てしまいます。鍛造後の冷却についても冷却速度まで徹底した管理が求められます。

 

荷重管理

製品の重量によって鍛造時の荷重を管理する必要があります。高強度材料にて製造されるクランクシャフトですが、製品の重量によって必要荷重が決まるため製造前の段階で確認が必要です。

>>熱間鍛造によるクランクシャフト製造のポイントとは?

 

当社が実践するポイント

熱間鍛造を行う際の当社が実践するポイントをご紹介します。

 

加熱温度管理

鍛造前の加熱時には徹底した温度管理を行っています。新たな材料へのトライの際なども温度管理を行ったうえで鍛造を行っています。

 

冷却温度管理

鍛造後の冷却時の温度についても管理を行っています。冷却開始温度と終了温度の管理や冷却速度など、金属の硬度に関わる点にもなるため徹底した管理を行っています。通常生産時には実績やノウハウに基づいて計算を行っておりますが、新たな材料開発時は時間を計測して対応しています。

 

荷重管理

鍛造前の段階で製品重量などの条件を確認し必要荷重を決めています。当社では5000トンプレスも保有しているため幅広い製品に対応可能です。

>>鍛流線とは?熱間鍛造の設計における注意点について

>>クランクシャフトのバランス調整のポイント 

 

クランクシャフトの製品事例

ここでは熱間鍛造で製造したクランクシャフトの事例をご紹介します。

直列2気筒エンジン 2Rクランクシャフト

no10

こちらの製品は、2Rクランクシャフトです。左右のバランスは悪く、肉流れが悪い事が問題でした。このような製品はシミュレーションで金型やウェイトが大きく厚い部分に確認が必要です。

そのため、シミュレーション実施することから進める必要がある事を説明させて頂きました。シミュレーションを進め検討を重ねた結果、金型の改善が必要となる事がわかりましたので、当社にて改善提案を行い製作を進めさせて頂きました。

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水平対向エンジン 4Rクランクシャフト

no16

こちらの製品は、ウェイト間の幅に対して、ウエイトが深すぎるというバランスの悪い製品となります。そのため、鍛造時に肉が流れづらい点が問題ということで、ご相談をいただきました。

当社にてシミュレーションを行い、金型設計から改善が必要であることがわかりました。それに対して、金型設計の改善提案を行い、シミュレーションを行った結果、このような複雑形状に対しても問題なく生産ができることが確認できましたので、生産を行いました。

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直列4気筒エンジン 4Rクランクシャフト

no16直列4気筒エンジン 4Rクランクシャフト

こちらのクランクシャフトは、重量が重く20kgある製品だったため、成形可能なメーカが見つからず、お客様が対応可能な会社を探していた中で当社にご相談いただきました。

一般的な国内の熱間鍛造メーカでは3000トン対応出来る設備は持っていますが、こちらの製品にはそれ以上の設備が必要となりました。
当社では5000トンプレスを保有しているため、材料切断~製品箱入れまで60分で完結する一貫生産ラインを提案致しました。
歩留まりをいかに改善できるか、という点においては当社の生産ラインが活躍した事例となります。

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直列4気筒エンジン 2Rクランクシャフト

03_直列4気筒エンジン 2Rクランクシャフト

こちらの製品は、手前が太く、奥が細い形状のため、肉の配分バランスがいびつな形状でした。軸が太い方が欠肉してしまうことが多く、軸が細い方に肉が流れてしまうとバリが多く発生してしまい歩留まりが悪化してしまう問題がありました。

改善内容として、シミュレーション段階で中身を充満させるような流れを設計しました。また金型に工夫を凝らさなければいけないため、マシニングセンタで直接金型加工の実施もいたしました。

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直列4気筒エンジン 2Rクランクシャフト(1300cc)

04_直列4気筒エンジン 2Rクランクシャフト

ジャーナル軸とピン軸の位相のズレを抑えることが重要な製品となります。しかし、形状が複雑になると位相のズレが発生しやすくなっており、問題となっていました。また、手前が太く、奥が細いため、肉の配分バランスが悪い状態でした。軸が太い方が欠肉してしまうことが多く、軸が細い方に肉が流れてしまうとバリが多く発生してしまい歩留まりが悪くなる事がわかりました。

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直列4気筒エンジン 船外機クランクシャフト(150馬力)

直列4気筒エンジン 船外機クランクシャフト(150馬力)

こちらは、両短軸が段形状で細長い軸部分の成形が困難で欠肉しやすいため難しい製品です。 自動車は形状がシンプルな一方で、二輪車や船外機は異形が多いので欠肉しやすい部分に注意が必要です。

150馬力が必要な大型クランクシャフトを鍛造後に外注で熱処理工程しており、その際の曲がり不良が多かった点が問題点とわかりました。そこで、熱処理メーカとも協議を進め、曲がり抑制を実施しています。 ギヤ形状、真円度と同軸度が重要であることを認識し、改善を進めております。

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直列4気筒エンジン 船外機クランクシャフト(80馬力)

07_直列4気筒エンジン 船外機クランクシャフト(80馬力)

こちらは、L軸(Left)の段形状で細長い軸部分の成形が困難で、軸曲がりが起こりやすく、問題となりやすい製品です。自動車向けは形状がシンプルな一方で、二輪車や船外機向けは異形が多いので軸曲がりが発生しやすい部分に注意が必要です。

150馬力が必要な大型クランクシャフトで鍛造後に外注で熱処理工程しており、その際の曲がり不良が多かった点が問題とわかりました。そこで、熱処理メーカーとも協力しながら曲がり抑制を実施しています。

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直列3気筒エンジン 4Rクランクシャフト

直列3気筒エンジン 4Rクランクシャフト

こちらの製品は、従来ジャーナル軸に対してピン軸が120度の位相でツイスト工法での加工が一般的となります。ただし、ツイスト工法だと工程数が多くコストと工程短縮が課題となります。

そのため、平打ち成形での一発成形による工程短縮を提案しました。ただし、アンダー形状が発生するため駄肉をつける必要がありますので、金型設計に注意が必要です。

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直列2気筒エンジン 2Rクランクシャフト(250cc)

09_直列2気筒エンジン 2Rクランクシャフト(250cc)2

こちらの製品は、2Rクランクシャフトです。左右のバランスは悪く、肉流れが悪い点が問題点でした。 こういった製品は、シミュレーションや金型設計が重要になります。

そのため、シミュレーション実施することから進める必要がある事を説明させて頂き、お客様にもご納得いただきました。シミュレーションを進め検討を重ねた結果、適切な金型設計に改善が必要となる事がわかりました。当社にて改善提案を行い製作を進めさせて頂きました。

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直列2気筒エンジン 2Rクランクシャフト(800cc)

11_直列2気筒エンジン 2Rクランクシャフト(800cc)2

こちらは、90度位相の異形状製品であり、工法の改善についてお悩みとのことでご相談をいただきました。 90度位相の形状であるため、ツイスト工法で加工するか、平打ち成形で金型を段形状にして1発成形を行うかで比較・検討を行い、両方の工法にてお見積もりをいたしました。

製造の際には、アンダー形状が発生するため駄肉をつける必要がありました。左右のバランスは悪めで、肉流れが悪いため、事前のシミュレーションや金型設計が重要なものとなりました。結果として、1発成形であれば工程の短縮も可能なためこちらの工法を最適な工法としてご提案させていただきました。

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直列2気筒エンジン 汎用クランクシャフト

12_直列2気筒エンジン 汎用クランクシャフト

バギー車用の長尺クランクシャフトでのご相談でした。製品の特長として、軸が両端に長いため、欠肉と曲がり対策が重要なものとなります。こちらの対策についてお悩みとのことで、当社にご連絡いただきました。

長尺品であり、欠肉や曲がりに対しての対策が必要なため、当社から金型設計の改善提案を行いました。当社でのシミュレーションも行うことで、お客様からもご納得いただきまして、金型の設計提案を行い、対応させていただくこととなりました。

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V型2気筒エンジン 2Rクランクシャフト(1800cc)

13_V型2気筒エンジン 2Rクランクシャフト(1800cc)

歩留まりと表面粗さについて課題のあるお客様からのご相談でした。 こちらの製品については、歩留まりの向上と肌荒れ対策のために、材料の中央を太らせる潰し工程を設けました。

材料の中央を潰して太らせることで、大きなウェイト寸法への対応と酸化スケール(鉄が高温になった際に酸素に触れると表面が酸化する、そのまま成形してしまうと肌荒れにつながる)を抑制することができます。表面粗さに影響が出る場合に採用されることが多いため、ご提案をさせていただきました。

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V型2気筒エンジン 2Rクランクシャフト(800cc)

14_V型2気筒エンジン 2Rクランクシャフト(800cc)

こちらの製品は、ウェイト幅が狭く、深いため、金型の耐久性も悪くなってしまい、改善をご検討中でした。特に、金型が倒れやすくなってしまうため、壁の強度対策向上、または肉の配分を変える(応力の分散)、肉流れを変えて応力が集中しないように金型設計をするなどの対応が必要となっていました。

そのため、金型設計から改善のご提案をさせていただきました。耐久性の向上や、応力の分散などについてシミュレーションも交えてご提案を行いました。

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V型2気筒エンジン 2Rクランクシャフト(1000cc)

15_V型2気筒エンジン 2Rクランクシャフト(1000cc)

こちらの製品は、製作するには比較的容易な形状である一方で、ウェイトが厚く、上手く分散できないと径を太くしなければいけない形状でした。形状のバランスが悪く、鍛造時に多くのバリが出て歩留まりが悪いことも改善点として挙げられていました。

そのため、当社にてシミュレーションを行った結果、金型設計から見直す必要がありましたので、当社からお客様へ金型設計の改善提案をさせていただきました。当社からお客様へ歩留まりの提案により、結果としてお客様にもご納得いただけたため、制作をさせていただきました。

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直列4気筒エンジン 船外機クランクシャフト

06_直列4気筒エンジン 船外機クランクシャフト(150馬力)

こちらは、両短軸が段形状で細長い軸部分の成形が困難で欠肉しやすいため難しい製品です。 自動車は形状がシンプルな一方で、二輪車や船外機は異形が多いので欠肉しやすい部分に注意が必要です。

150馬力が必要な大型クランクシャフトを鍛造後に外注で熱処理工程しており、その際の曲がり不良が多かった点が問題点とわかりました。そこで、熱処理メーカとも協議を進め、曲がり抑制を実施しています。 ギヤ形状、真円度と同軸度が重要であることを認識し、改善を進めております。

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直列4気筒エンジン 船外機クランクシャフト

05_直列4気筒エンジン 船外機クランクシャフト

こちらは、左側のフランジ部分に肉が多く、欠肉しやすいため製作が難しい製品です。自動車向けは形状がシンプルな一方で、二輪車や船外機向けは異形が多く製作が難しくなります。150馬力が必要な大型クランクシャフトで鍛造後に外注で熱処理工程を実施していますが、その際の曲がり不良が多くありました。

不良改善するために、熱処理メーカーと協議した上で曲がり抑制する事で改善を進めていきました。その結果、不良が少なくなり改善する事が出来ました。

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>>クランクシャフトの製品事例 一覧はこちら

 

 

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軸物・シャフト 熱間鍛造技術センター.comを運営するKAKUTAテックフォージングは、昭和20年の創業以来、機械器具部品や農機具、自動車・オートバイ部品の熱間鍛造プレス品を製作してまいりました。業界問わず、地域・環境特性に応じた熱間鍛造プレス技術によって、数多くのメーカーと直需対応を行っており、鍛造業界から注目を集め続けています。

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